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プロジェクトを進行する中ではさまざまなリスクが考えられますが、リスク全てを予測して対応することは不可能です。しかしリスクについてあらかじめ考慮し、どう対処するか検討することは非常に重要であり、これが「リスクマネジメント」と呼ばれています。
万が一リスクについて全く考えずにプロジェクトを進行した場合には、いざという時に何も対応できず、プロジェクトが失敗に終わってしまう可能性もあります。このことから、リスクマネジメントはプロジェクトマネジメントにおいて重要な位置づけとされています。
プロジェクトにおいて重要とされているリスクマネジメントですが、どのようなプロセスを経て行われるのかを紹介します。
まずはリスクマネジメントに関する計画を行います。ここではリスクマネジメント計画書が作成されますが、その内容は、リスクに関するプロセスの進め方や、リスクを洗い出すための分析ツールなどを記載します。このリスクマネジメントの計画については、プロジェクト構想時点でスタートされるものですが、状況の変化に合わせてプロジェクトの後半で見直しを行います。
関係者全員が参加した上でリスクの洗い出しを行い、リスク登録簿と呼ばれるリストを作成します。ここでは、個別リスクと全体リスク双方の洗い出しを行いますが、個別リスクをリストに記載する際には、曖昧さを残さずに関係者全員が明確に理解できるように記載することが必要となります。また、個別リスクは責任者(リスクオーナー)を指名します。
リスクが発生した時に、プロジェクト全体にどれくらいの影響を与えるかをシミュレーションなどによって数量的な分析を行います。この分析には高度な技術を必要とすることから外部に依頼するケースもありますし、実施しないというケースもあるでしょう。
ただし、プロジェクトが大規模な場合には損失発生時には影響が非常に大きくなる可能性もあるため、定量的分析を行った方が良いといえます。
想定されるリスクへの対処を目的として、どう対応するかといった計画を立てていきます。リスクに対応するためのリソースを配分することになりますが、優先度が高いとされているリスクについては、リソースを多く割く必要があるといえるでしょう。
このようなリスクへの対応計画は、プロジェクト文書とプロジェクトマネジメント計画書に記載しておきます。
リスク対応策を実行する際には、計画によって合意が得られている内容を実行することになります。さらに、リスクへの対応はタイムリーに実施するという点も重要となってきます。
プロジェクトを進行する中で対応したリスクの監視を行います。さらに新たなリスクを分析して対応したり、今後は発生しないと思われるリスクを集結して報告書の作成も行われます。
また、プロジェクトが進行している間は、状況がさまざまな変化をすることからリスクも発現する可能性があります。そのため、繰り返しリスクマネジメントのプロセスが行われることになりますから、プロジェクトの管理者はこのリスクマネジメントが機能しているかを定期的にチェックします(どの程度の頻度でチェックを行うかは、プロジェクトマネジメント計画書に記載されます)。
前述した通り、プロジェクトが進行している間はリスクが発現しますし、さらに状況の変化によって新たなリスクが発生する可能性もあります。そのため、まずリスクマネジメントの計画を作成する場合にはプロジェクトの前半だけではなく後半部分でも見直しを行うことが必要になってきます。
また、ただ、リスクマネジメントを行う中での問題としては、リスクの洗い出しや対応策の策定は行っているものの、実際にはリスク対応策が実行されないといった「計画しただけ」といった状況が発生する場合もありますので注意が必要です。
プロジェクトにおけるリスクマネジメントについて紹介してきました。プロジェクトを進行する上ではさまざまなリスクが考えられます。リスクマネジメントを全く行わないままプロジェクトを進めると、万が一の際に対応ができず、失敗に終わってしまう可能性も否定できません。
このことから、プロジェクトにおけるリスクマネジメントは非常に重要なポイントであるといえるでしょう。
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